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支部長のつぶやき第014話『極めはゆっくり タップははやく』[2026.09.09]

トライフォース宇都宮の村澤です。

今回は「極めはゆっくり、タップは早く」というテーマで、スパーリングとの向き合い方についてお話ししたいと思います。

スパーリングは勝ち負けを決める場ではない

スパーリングというと、つい「相手を制圧すること」が目的になりがちです。しかし本来スパーリングは、自分が今持っている技術を確認し、研究するための場です。勝敗をつけるものではありません。

そう考えると、「どんどんタップする」ということは、決して恥ずかしいことでも負けでもなく、上達のための正しい選択だと言えます。

タップは早く。伸びかけで我慢する必要はない

例えば関節技で、まだ極まっていない段階であれば、そこから逃げる練習(ディフェンス・エスケープ)も大切な練習の一つです。どんな持ち方をされると危険なのか、どこを外せば逃げられるのか。まだ伸びていないうちからタップする必要は全くありません。こうした練習は当然必要です。

ただし、すでに8〜9割極まっていて、相手が少し手首を引いて腰を上げれば一気に決まってしまう、という状態になってからも我慢してタップしないケースが時折見られます。

そこから逃れる術は、怪我のリスクを冒しながら無理に体を回転させたり、力で抵抗したりすることくらいしかありません。パートナーも「早くタップしてほしいな」と思いながら、それでもタップしてくれない相手に対して、そのまま極めに入ってしまえば怪我をしてしまうこともあるでしょう。そしてその結果、何週間も練習を休むことになってしまえば、本末転倒です。

潔く「極まった」と認めてすぐにタップし、道着を整えてまたすぐに再開する。どちらが結果的にたくさん練習でき、上達につながるかは明らかです。純粋な筋力・フィジカルだけで抵抗するエスケープは、正直あまり意味がないと個人的には思っています。

極める側も「相手の反応」に頼りすぎない

これは極める側にも言えることです。自分の中で「これは完全に極まっている」という手応えがあるのに、相手がなかなかタップしてくれない、ということもあると思います。

そんなときは、相手がタップするまでじっと待つのではなく、5〜10秒待っても反応がなければ「これは極まらなかった」と自分の中で区切りをつけて、次の展開の練習に切り替える。そのほうが練習として実りが多いはずです。無理に極めきろうとする必要はありません。

体格やスピード、勢いに頼らない

もう一つ気をつけていきたいのが、体格やスピード、勢いで相手をコントロールしようとすることです。

技術が伴っていなくても、体格で勝っていたりスピードが速かったりすると、力任せに何とかなってしまうことがあります。しかしそれは、レベルが上がった世界では通用しません。それ以上に、相手を怪我させてしまうリスクがあります。

受ける側からすると、本来であればディフェンスができるはずの場面でも、勢いよく上から体重を乗せられてしまうと、関節を守る動きが間に合わないまま怪我につながってしまうことがあります。技術ではなく力や勢いで押し切ろうとするスパーリングは、避けていくよう意識していただけると幸いです。

練習は弱くていい。本番で輝く選手を目指そう

実際、RIZINで活躍中の所英男選手のように、普段の練習ではどんどんタップを取られ、「練習は弱い」と言われることで有名な選手もいます。それでも試合になると圧倒的な強さを見せる。私自身、そんなタイプの選手を道場で何人も見てきました。

「あの人は本番に強い」そう言われたら嬉しいですよね。

極めはゆっくり、タップは早く

道場にも掲げているこの言葉には、二つの意味を込めています。

一つは、極める側へ。勢いよくスピードに任せて一気に決めてしまうと、相手に怪我をさせてしまうリスクがあります。「これ以上動かせば極まる」というところまで持っていったら、そこからはゆっくりと極めていただきたいと思います。

もう一つは、極められる側へ。無理だと思ったら、我慢せずすぐにタップする。それだけです。

相手の体に優しく、自分の体にも優しく

大切なのは、怪我をしないことです。そしてそれ以上に大切なのは、相手に怪我をさせないことです。

関節技や絞め技を極めることと、相手に怪我をさせることは、まったく別のことです。力任せに極めにいくのではなく、正しい角度・正しいコントロールで技をかけることこそが、本当の意味での実力だと思います。

トライフォース宇都宮の会員の皆さんにも、相手の体に優しく、そして自分の体にも無理をしないスパーリングを、ぜひ心がけていただきたいと思っています。そんな日々の練習の積み重ねが、怪我なく長く柔術を続けられる一番の近道です。